鍼治療
鍼治療とは
経穴(ツボ)に鍼を刺し気の流れを整えることで、自然治癒力を高める療法です。
また、経穴を刺激することでその周囲の筋肉や神経に働きかけるため、体を柔軟にしたり痛みを軽減するのに役立ちます。
撮影協力:サスケくん
効果
鍼治療は以下のような効果が期待できます。
- 骨関節疾患(股関節形成不全や膝蓋骨脱臼症など)における痛みの軽減
- 神経疾患(椎間板ヘルニアなど)による麻痺の改善、また手術後のリハビリ
- スポーツドッグなど筋肉を酷使している子の怪我予防
- 下痢などの消化器症状の改善
※その他の症状についてはご相談ください。
時間
- 初回:カウンセリング含め1時間程度
- 2回目以降:30~40分程度
※同じ個体でも別の症状の場合は新たにカウンセリングの時間がかかります。
回数、期間
初めのうちは1週間に1~2回、2ヶ月程度の継続をお勧めします。
途中、状態に応じて回数の増減を行います。
問題となる症状が改善した後も、月に1回程度メンテナンスを行うことで状態の維持がより期待できます。
費用
- 初回:5000円(カウンセリング料、カルテ作成料込み)
- 2回目以降:4000円(別の症状でもカウンセリング料込みになります。)
その他
- 施術前後の飲食は控えてください。(出来れば2時間程度)
- 代謝が良くなるため、施術直後は排泄が多くなることがあります。
- 動物の状態によって施術をお断りすることがあります。(重い内蔵疾患など)
- 効果には個体差があります。
一般的に、活発な性格の子は効果が出やすく、おっとりした性格や臆病な子は反応が遅いと言われています。(東洋医学の「五行説」分類より)
椎間板ヘルニアの鍼治療一例
症状の程度(グレード)や発症してからの期間などわんちゃん(ねこちゃん)によって経過や改善度合いも様々です。
鍼治療で適用の多い椎間板ヘルニアの一例をご紹介します。
症例:ミニチュアダックス、2歳、女の子(避妊済み)
発症日より1日目 | 歩行困難だが、歩くことは可能だった。 |
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〜 | かかりつけ病院でステロイド処方 一時改善するものの再び悪化 |
16日目 | レントゲン、MRIにて椎間板ヘルニアの診断 |
23日目 | 起立不可になる。CP:0 (※1) |
38日目(当院初診) | 鍼治療開始。週1回で経過を見ることになる。 |
46日目(2回目) 鍼治療開始から15日目 |
CP:1 (※1)、改善見られる。 立ち上がりに補助を入れてあげると数歩歩く |
53日目(3回目) 鍼治療開始から15日目 |
3日ほど前から自力での立ち上がりが出来るようになった。 後肢の力がアップ。 |
60日目(4回目) 鍼治療開始から22日目 |
通常の歩行はほぼ問題なし。 お座りの時後肢が開き気味になる。トイレでの半腰はまだ出来ない。 経過は順調のため鍼治療を10日に1回にする。 |
70日目(5回目) 鍼治療開始から32日目 |
活動性が更に増し、トイレでの踏ん張りもアップ。 歩行スピードを上げるとうさぎ跳びになる。 |
80日目(6回目) 鍼治療開始から42日目 |
歩行スピードをあげてのうさぎ跳びも少なくなる。 トイレも問題なし。→経過は順調のため鍼治療を2週間に1回にする。 |
94日目(7回目) 鍼治療開始から56日目 |
CP:2 正常(※1)に戻る。 階段も上りたがるぐらいになる。(※2) |
↓ | |
145日目 現在 | その後も経過順調のため、3週間に1回。 ひと月1回と鍼治療の頻度を減らす。 今後はひと月に1回でメンテナンスとして鍼治療を行っていく予定。 |
- ※1:CP→プロプリオセプション(固有位置感覚)というもので、足の甲を床に着けた時の反応を見ます。正常の子はすぐに戻しますが、感覚神経や運動神経に問題がある場合は甲が床に着いたままだったり、戻す反応が遅かったりします。2が正常で、消失している場合は0、低下している場合は1と表記します。
- ※2:階段→ヘルニアになった子やなりやすい犬種(ダックスさんが圧倒的ですが)は、階段の昇り降りは避けてください。ここでは、そこまで元気になったという目安で記入してます。
鍼で効果が見られる疾患は多いですが、中でも椎間板ヘルニアは効果が出やすいと感じています。上でご紹介させていただいた子のように行くたびに改善がある子も多いです。発症してから時間が経ってしまった場合や手術で効果が見られなかった場合など、中には改善が出にくいこともありますが、続けることで効果が期待できると思います。その他の骨関節疾患や神経疾患にも有用です。
治療方法、あるいはリハビリやメンテナンスの一つとして、鍼治療をご検討してみてください。